今回のジャズピアニストはこの方。
Jazz Piano
ミッキー・タッカー
Mickey Tucker (1941)
■USA
「ブルース感覚が捨てがたい名手」
バイオグラフィー
1941年4月28日ノースカロライナ州ダーハム生まれ
ミッキー・タッカーが録音したレーベルにはブルーノート、ダン、デンオン、ザナドゥ、ミューズなどいかにも地味ながら実力のあるアーティストを重用するポリシーのレコード会社が並んでいる。
中堅ピアニストのファンは日本にはそう多くないと思われるが作編曲にも才能があり、プレイも折り目正しいブルース・フィーリングに満ちたもので、捨てがたい魅力の名手だ。ジャズクラブで生で聴きたい筆頭のピアニストと言える。
最初はクラシックピアノを学び、長じてはハイスクールの教師としての道を歩んだタッカーがプロのミュージシャンになったのは24歳の時だ。
ジェームス・ムーディやサド・メル楽団でのプレイが評判を呼び、サド・メル楽団の先輩であるローランド・ハナとコンビで、ピアノ2台による異色グループ「ニュー・ヘリテージ・キーボード・カルテット」でブルーノートからアルバムデビューを飾った。
この作品は結構マニア・アイテムとなっている。
まずアマゾンなどのネットショップでも見つからない。中古ショップで見つけたら即買いのアルバムであることは間違いない。
タッカーの名が一躍ジャズ・ファンの間に広がったのは76年の11月にジャズ・メッセンジャーズに参加してからで、ブレーキーやアーチー・シェップ等と来日を重ね、着実にファンを増やしていった。
しかし彼の音楽性が本当に花開くのはミューズ・レコーダに録音を開始してからで「ミスター・ミステリアス」は彼のミュージシャン・シップがストレートに表現された傑作と言える。
続く「ザ・クロール」のタイトル・ナンバーのノリの良いメロディが人気を博し、ジャズ喫茶族の間でもなかなかの評判を呼んだ。
どちらもフロントに3本(tp、tb、ts)を配し、重厚なアンサンブル・リフと小気味の良いソロが連続するシンプルな作りだが、ニューヨークの一流クラブで聴くと、さらに興奮するようなマンハッタンの生の現場をほうふつとさせる出来で、こういうアルバムを愛聴できるファンは本物のジャズ・ファンと自慢しても良いのではないだろうか。